信用創造
銀行が貸し出しを行うことで、経済全体の通貨供給量を増やす仕組み。フラクショナルリザーブ(部分準備制度)により可能になる。
仕組み
- 銀行Aに100万円の預金が入る
- 銀行Aは10万円を準備金として保持し、90万円を企業Xに貸し出す
- 企業Xはその90万円を別の企業Yに支払う
- 企業Yは90万円を銀行Bに預金する
- 銀行Bは9万円を準備金として保持し、81万円を貸し出す
- このプロセスが繰り返される
結果:当初の100万円の預金から、経済全体では数倍の通貨が流通する。これが「信用創造」である。
信用創造の上限
準備率が10%の場合、理論上は元の預金の10倍まで通貨供給が増える(信用乗数=10)。
実際には、以下の要因で制限される:
- 銀行の貸し出し意欲
- 借り手の需要
- 中央銀行の金融政策
- 規制上の自己資本比率
ステーブルコインとの違い
ステーブルコインは信用創造を行わない:
- 銀行: フラクショナルリザーブにより、預金の数倍の貸し出しが可能
- ステーブルコイン: 100%準備金を保有するため、信用創造はできない
この違いは、ステーブルコインが銀行よりも安全である反面、経済全体の通貨供給には貢献しないことを意味する。
マクロ経済への影響
信用創造は経済成長に必要な資金供給を行う一方で、過剰になるとバブルやインフレを引き起こす可能性がある。逆に信用収縮(クレジットクランチ)が起きると、経済全体が停滞する。
ステーブルコインの普及により、銀行の信用創造機能が低下する可能性があり、これは金融システム全体の構造変化を意味する。
関連
- フラクショナルリザーブ - 信用創造を可能にする仕組み
- 準備金 - 保持が必要な資金
- ステーブルコイン - 信用創造を行わない代替システム
- 利ざや - 銀行が信用創造から得る利益
- 租税貨幣論 - 貨幣の本質についての理論
- ステーブルコインと国債と銀行の未来