顔認証

顔の特徴を用いて本人を識別・認証する生体認証技術。画像処理とAIを用いて、顔の特徴量を抽出・照合する。

概要

カメラで撮影した顔画像から、目・鼻・口などの特徴点を抽出し、登録済みの顔データと照合することで本人確認を行う技術。eKYCにおいて最も広く使われる認証手段の一つ。

技術的仕組み

1. 顔検出(Face Detection)

画像内から顔領域を検出する。

画像入力
  ↓
Haar Cascade / YOLO / SSD などで顔領域を検出
  ↓
顔のバウンディングボックス取得

2. 特徴抽出(Feature Extraction)

顔の特徴量をベクトル化する。

顔画像
  ↓
前処理(正規化、位置合わせ)
  ↓
CNN(FaceNet, ArcFace, CosFace など)
  ↓
顔特徴ベクトル(128次元〜512次元)

3. 照合(Matching)

特徴ベクトル間の類似度を計算する。

照合対象の特徴ベクトル A
登録済みの特徴ベクトル B
  ↓
コサイン類似度 / ユークリッド距離を計算
  ↓
閾値判定
  ↓
本人 / 他人

eKYCでの利用

ヘ方式(マイナンバーカード)

  1. マイナンバーカードのICチップから顔写真を読取
  2. ユーザーがスマホで自撮り
  3. 2つの顔画像をAIで照合
  4. 一致すれば本人確認完了

ホ方式(本人確認書類)

  1. 運転免許証等の写真付き本人確認書類を撮影
  2. ユーザーがスマホで自撮り
  3. 書類の顔写真と自撮りをAIで照合
  4. 一致すれば本人確認完了

Liveness Detection(生体検知)

なりすまし防止のため、撮影対象が生きている本人であることを確認する技術。

パッシブ型

アクティブ型

セキュリティ上の課題

攻撃手法

  1. 写真攻撃: プリントした写真をカメラにかざす
  2. 動画攻撃: スマホやタブレットで動画を再生
  3. 3Dマスク: 高精度な立体マスク
  4. ディープフェイク: AIで生成した合成顔

対策技術

精度指標

FAR(False Acceptance Rate: 誤受入率)

他人を本人と誤認識する確率。低いほど良い。

FAR = 他人を本人と判定した回数 / 他人の照合回数

FRR(False Rejection Rate: 誤拒否率)

本人を他人と誤認識する確率。低いほど良い。

FRR = 本人を他人と判定した回数 / 本人の照合回数

トレードオフ

金融機関のeKYCでは、FARを極めて低く設定(FAR < 0.01%)。

公的個人認証(電子署名)との違い

観点 顔認証 公的個人認証
証明するもの 本人の存在 本人の意思
認証要素 生体(顔) 知識(PIN)+所持(カード)
なりすまし対策 Liveness Detection 秘密鍵+PIN
UX 自撮りで簡単 PIN入力が手間
法的効力 本人確認の補助 電子署名法で実印相当
精度 AI精度に依存 暗号技術による確実性

利用シーン

本人確認(KYC)

アクセス制御

決済・認証

プライバシーと法規制

個人情報保護

顔認証データの保管

技術動向

AI精度の向上

エッジAI化

マルチモーダル認証

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